三井不動産グループ ENTRY

経営者対談

代表取締役会長 CEO 北原 義一 
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代表取締役社長 COO 長岡 勤

感動、興奮、そして熱狂。
定性的な価値観を絶えず示し、
心の豊かさを届けていく。

~東京ドーム経営層が語る、業界の未来と私たちの挑戦~

Member

北原 義一Yoshikazu Kitahara

代表取締役会長 CEO

1980年、三井不動産入社。宅地開発事業やオフィスビル事業などでキャリアを積み、代表取締役副社長執行役員を務めた後に2021年に東京ドームへ。趣味はボクシング・プロレス等格闘技観戦。

長岡 勤Tsutomu Nagaoka

代表取締役社長 COO

1978年、後楽園スタヂアム(現・東京ドーム)に入社。主に開発事業に長らく携わり、ラクーアの立ち上げも担当。趣味はゴルフ。2026年3月末をもって退任。

※役職・内容は取材当時のものとなります

Index

  1. Chapter 1レジャー・エンターテインメント業界の現状
  2. Chapter 2「感動」ビジネスの本質
  3. Chapter 3成長戦略・今後の展望
  4. Chapter 4求める人材・後進への期待

Chapter 1

レジャー・エンターテインメント業界の現状

ひと昔前の「アミューズメント」を脱し、「エンターテインメント」へと進化。

北原この業界の成長性、潜在成長力というのは、非常に高いと私は考えています。なぜなら、AIやIoT、ロボティクスといったニューテクノロジーが飛躍的に進化し、これからは労働時間が劇的に短縮されていくと考えられているからです。結果として、余暇の使い方も大きく見直されていくことになるのではないかと。

長岡間違いないと思います。コロナ禍以降、ニューテクノロジーが急速に浸透したことで働き方も変化し、労働に対する意識も大きく変わりはじめていますから。

北原そうした変化により生み出された余剰の時間を、これからどう使っていくか。副業や学業、ボランティアなど、その使い方には個人差もあるでしょう。一方で、休暇・休日の過ごし方というものも、これまで以上に中身が問われていくはずです。そうしたとき、その受け皿となるのがこの業界であると。これはもう世界的な潮流といえるでしょうね。

長岡現にその潮流が、業界に大きな変化を生み出しています。ひと昔前は「アミューズメント」だったのに、それがこの数年で「エンターテインメント」へと変わってきています。たとえばプロ野球も、テクノロジーを駆使したショーアップが当たり前となり、お客様にとって受動的だった野球観戦が能動的なそれへと変化し、多くの球場で観客動員数が増えています。東京ドームに限ってみても、プロ野球以外のスポーツやイベントにもエンターテインメントの要素が加わり、アーティストのコンサートも新しい演出が次々と生み出され、ショービジネスとして日夜ブラッシュアップされているという感があります。

北原まさに業界が変革期を迎えるなかで、私が強く意識するのが当社の強みです。それは脈々と受け継がれてきたパイオニア精神であり、それを醸成する企業哲学、企業文化です。東京ドームの前身である後楽園スタジアムの建設も、現代経営からすれば冒険的な試みにしか映りません。なぜなら、当時は職業野球団も1チームしか存在しておらず、キャッシュフローがまったく読めていなかったからです。にもかかわらず、先人たちは果敢に挑戦し、実現させた。現在の日本プロ野球の隆盛も、日本人メジャーリーガーの活躍も、元を正せばここからはじまったといっても過言ではないでしょう。

長岡東京ドームの建設も然りですね。計画段階では、採算が合わないという反対意見も少なくありませんでした。それでも持ち前のパイオニア精神を発揮し、興行企画部を新設して海外アーティストや野球以外のプロスポーツの誘致に注力することで、不可能を可能にしました。その結果、東京ドームは日本プロ野球の聖地となっただけでなく、アーティストにとっての最終目的地のひとつとなりました。各地にドーム球場が誕生する契機となり、ドームツアーと呼ばれる興行も企画されるまでとなりました。こうした歴史を踏まえても、私たちはこれからも業界を盛り上げ、リードしていく存在でありたいと強く思います。

技術革新が生む
余暇拡大は、
産業成長の構造的機会

北原

Chapter 2

「感動」ビジネスの本質

経済格差に起因する分断化社会に対し、異なる価値観を示し連帯を生み出していく。

北原レジャー・エンターテインメント業界というのは、「感動」ビジネスともいわれます。ですが、私は感動や興奮、熱狂というものを、はじめから金儲けの手段として考え、創出しようとしても、お客様の心を動かすことはできないと考えています。

長岡同感です。お客様を感動させるためには、まず届け手である私たち自身が感動できるかが重要です。東京ドームのイベントにしても、遊園地のアトラクションにしても、そこに変わりはありません。大切なのは、私たちの純粋な想い、素直な気持ち。

北原そうです。「この感動をお客さまに届けたい」「この感動をひとりでも多くの人に共有してもらいたい」─。そうしたピュアな気持ちが、事業活動の熱量へと変換され、その情熱がお客様の心を動かしていく。言うなれば、利益は結果論に過ぎない。私は「感動」ビジネスというのは、そういう順番で考えていくことが大切だと思いますし、東京ドームという会社は、それを実践してきた会社であると自負しています。

長岡会長と社長とでこんな会話をしていると、経営者として問題ではないかと指摘されそうですが(笑)、事実だから仕方がありません。それというのも、なにが感動や興奮、熱狂を生み出すのか、そこに明確な答えなどないからです。だとしたら、自分たちを、そしてお客様を信じて、果敢に挑戦する以外に道はありません。

北原現代社会は資本主義に基づき、資本市場の価値観一辺倒で発展してきました。企業価値や事業価値を客観的に評価するためには、経済指標で表される数字を活用する以外に術がないからです。しかし、行き着いた先は「1%の超富裕層と99%の貧困層」ともいわれる格差社会であり、世界中で分断と対立を生み出しています。だからこそ、私たちは発信していきたいと思うのです。経済的価値だけが豊かさではないと。それは、ひとつの価値観に過ぎないのだということを。

長岡北原さんも私も経営者ですから、正直に申し上げれば数字にはシビアです。しかし、私たちが真に提供したいと望むのは、数字以上の価値であり、それはほかでもない心の豊かさです。殺伐とした世の中だからこそ、心の豊かさをテーマにいろいろな取り組み、チャレンジをしていくことが当社の使命である─。私たちはそう、本気で考えています。

北原もちろん、資本主義のルールや指標による定量的な価値観を否定しようというものではありません。ただ、それと同じくらいに愛情や友情、思いやりや互助の精神といった、数字では決して測れない価値も大切にしていきたいと思うのです。私たちは、こうした定性的な価値観を絶えず示していくことが「感動」ビジネスの本質だと考えていますし、一連の企業活動によって笑顔の総量を増やしていきたい。東京ドームシティが「笑顔と笑顔の交差点」となることで、明日への活力、生きる喜びを皆で分かち合い、人と人との連帯を生み出し、平和な世の中の実現に寄与したい。そう素直に思うのです。

私たちが
提供したいのは、
数値を超える
本質的価値

長岡

Chapter 3

成長戦略・今後の展望

リアルの世界とメタバースの世界、双方向の交流を促しグローバルに拡張する。

長岡これからの当社、そして業界の成長戦略を考えたとき、着実に進めていきたいのが東京ドームシティの再整備です。都心のど真ん中に位置し、複数の公共交通機関で容易にアクセスできる立地条件は、他のエンターテインメント施設と比べても圧倒的な優位性を有しています。まずは世界的にも希有なこのポテンシャルを最大限に活用していきたい。

北原そして、もうひとつがメタバースワールドの実現です。当社には、すでに年間約4,000万人(※)のロイヤルカスタマーが存在していますが、地球人口を80億人とすると、約79億6,000万人の人たちにはまだアプローチできていない。東京ドームシティで展開されているサービスを、Web3を中心としたメタバースワールドでも展開することにより、国境、民族、宗教、ジェンダー、世代といったあらゆる垣根を超え、提供していきたい。(※2019年度 現在非公表)

長岡つまり、リアルの世界とメタバースの世界、その両方を追求し、双方向の交流を生み出していく。そうすることでエンターテインメントを軸にしたサービスをグローバルに展開し、そこで生まれる感動や興奮、熱狂を、世界中の人たちにお届けすると。

北原プレイヤー、アーティスト、クリエイター、イベンター、プロモーター……。こうした感動を生み出す能力、才能をもった世界中の人たちをキュレーションしていく私たちの仕事は、まだまだ限界が見えていません。その証拠に、先日もeスポーツをはじめて観戦したのですが、大いに心を揺さぶられ、満ち足りた気分で帰路につきました。そして思ったのは、eスポーツひとつとっても、私たちの業界においてはマーケットメイクするチャンスはいくらでもあるということです。

長岡そうですね。eスポーツも、出発点は個人で楽しむゲームでした。それがチーム戦となり、応援する人が加わり、ギャラリーも増えてと、どんどん人の輪が広がっていった結果、eスポーツ競技によるオリンピックも創設される。「面白い」「楽しい」という純粋な気持ちが多くの人たちと共有されたとき、そこに新たな感動が生み出されていく。しかも、出発点となる「面白い」「楽しい」という感情は、それこそ人の数だけ存在するんですよね。

北原そう。当社でいえば、約1,000人の社員が1つの「面白い」「楽しい」を見つけたとして、1,000とおりの感動のタネがあるということです。実際は、ひとりでも複数の「面白い」「楽しい」を見つけることを踏まえれば、「感動」ビジネスの可能性は無限大です。

可能性は無限大。
リアル×デジタルで
体験価値を拡張する
北原

Chapter 4

求める人材・後進への期待

人を好きになってほしい、夢や想いを抱ける人であってほしい。

長岡次代を担う若い人たちに期待するのは、人を好きになってほしいということ。やはり人が好きでないと、この仕事は続けられないと思います。欲をいえば、業界を問わずこれから社会に出る人たちにはぜひ、そういう人であってほしいと願っています。相手を敬い、たとえ意見が違っても、それを許容できる人であってほしい。そうやってお互いを認め合うことではじめて、多様性のある社会、寛容な社会が育まれ、翻って自らの個性も磨かれ、自分も生かされていくと思うのです。

北原本当に、そのとおりですね。当社も、偏った趣味や特技をもったオタクの集合体のような組織ですが(笑)、てんでばらばらな個性派たちが結束することで、私たちもほれぼれするようなイベントやプロジェクト、事業が生み出されています。その核心にあるのは、各人の個性や考えを認め、最大限に生かしていこうとするチームスピリットです。

長岡その点で、次代を担う若い人たちにはもうひとつ、夢や想いを抱ける人であってほしいと思います。私たちの仕事というのは、そうした夢や想いが「感動」を追求する原動力となり、自らの任務を楽しく、やりがいのある仕事へと導くからです。そうやって自らの仕事に情熱を傾ければ傾けるほど、それはお客さまにも確実に伝わり、そこで生まれる心の交流が明日への新たな活力となっていくからです。

北原当社の離職率が極めて低いのも、そうしたプラスのスパイラルを各自が描き出しているからともいえます。それだけに、自分の夢や想いを実現したいという志をもった人たちに当社の門を叩いていただけたら、私たちとしてもこれほど嬉しいことはありません。

長岡そして付け加えるなら、その志はなにも大志である必要はないということ。採用活動を担う社員たちの話を聞くと、自分の夢や想いが描けない、見つけられないと吐露する学生も少なくないそうです。その背景に、長期にわたる日本経済の低迷があるとすれば、経営者として申し訳なくも思うのですが、いずれにしてもこればかりは自分で見つける以外に方法はありません。自分の心が動くものとは、いったい何なのか。

北原そのうえでひとつ、アドバイスできるとしたら、自分のことばかりを考えるのではなく、自分の周りの人のことを考えてみるということでしょうか。周囲にいる大切な人たちを思い浮かべ、その人たちに対し自分が貢献できることはなにかと。

長岡おっしゃるとおりかもしれません。しかも、自分のことではなく、誰かのことを考えた瞬間に心が動いた人は、私たちの業界で活躍できる可能性は十分にあります。

北原なにせこの業界は、他の業界から移籍してきた私に言わせれば、あきれるほどのお人好し集団ですからね(笑)。ですが、今ならよくわかります。他者を思いやれる心根のやさしい人たちが集まる業界だから、多様な「感動」を生み出していけるのだと。

さまざまな好奇心を
まっている
長岡

好奇心の先と、出会いたい。

Recruit

社員インタビューは、talentbookにも掲載中!